2014年3月25日火曜日

落語バル「高浜虚子」の扁額

落語バル

近頃「○○バル」という企画イベントが流行っている。バルと言うのは「Bar」(飲食店)のことで、日本独特のバルは、駅や街の中心地をエリアとした飲食店が協同して顧客を誘致するためクーポン券を発行し、何軒かのお店を食べ歩き・飲み歩きしてもらおうと言う企画である。クーポン券は一般には5~6枚綴り3000円で1週間有効と言うものが多い。各店は500600円相当の料理(あて)と飲み物を提供してくれる。店によってメニューが違うのも楽しみで店によりオマケもしてくれる。「○○バル」と言うのは、これに落語やミュージシャンの演技がプラスされる。

こんな企画が先の日曜日、池田市で初めて開催された。私はクーポン券を片手に店を選んで3軒ほど廻った。どこも超満員で道路に溢れ出る盛況だ。その中の一軒、小料理店「くろ川」を訪ねた。2階の宴会座敷が落語の会場となっていて、高座がしつらえてあり赤毛氈に座布団・見台と寄席そのままに整えられている。やがて定刻に出囃子と共に噺家が登場。客は生ビールのジョッキーを傾け、酒肴を味わいながら噺を楽しむ。前列の客は目の前で噺家の息遣いが聞こえる近親感で大笑い、ビールも進む。20分程の一席が終わって、次の店へ行こうと出口に向かうと1階のカウンター席の後ろの框に一幅の扁額が目についた、為書きを見ると「為 魚治君」とあって、書家は「虚子」とサインがある。殆どの客が気付かず無造作に掲げてある扁額に私は驚いた。あの高浜虚子の真筆額が何故ここに在るのか?かねて知り合いの大女将に訳を聞いたところ明治・大正の頃池田駅前に「魚治楼」と言う料亭があって、大正の頃高浜虚子が河東碧悟桐やときには与謝蕪村と酒を酌み交わし俳諧談義に盛り上がることが何度もあった。そんな折、魚冶楼の当主小林冶一氏が虚子に所望し書かれた扁額だった。小林冶一氏の孫娘が嫁したのが、この小料理店の大女将で虚子の扁額は祖父から譲られたものだった。「花鳥諷詠」は虚子が正岡子規から受継いだ「ホトトギス」を主宰し客観写生を説いた言葉である。

この扁額のほかにも人形浄瑠璃の人形遣い人間国宝の桐竹紋十郎の「だるま」の色紙も掲げられている。はからずも知られずに無造作に掲げてある貴重な書画を発見した喜びは俳諧のサロンだった頃の池田を偲ぶ「落語バル」の思わぬ収穫だった。
 
 
 

 
 
 
 
 
 
(開催はH26.3.9.)

                            

                             

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